エンディングプランナー・小池 中(あたる)です。
「お別れの会でどんな挨拶をすればよいのか、まったく想像がつかない」。そうおっしゃる方はとても多いです。
お別れの会や偲ぶ会は、宗教的な制約が少なく、故人らしさを大切にした自由な形式で行われます。その分、スピーチにも「決まった型」が存在せず、どう話せばよいか迷われる方がほとんどではないでしょうか。
エンディングプランナーとして多くのお別れの会の準備に携わってきた経験から、立場別の挨拶文例と、司会進行の台本例をご紹介します。「この文例をそのまま使いたい」という方も、「参考にしながら自分の言葉で話したい」という方も、ぜひお役立てください。
目次
まず、葬儀や告別式での挨拶との違いを整理しておきましょう。この違いを理解しておくと、文例を自分の言葉に置き換えるときにも迷いがなくなります。
葬儀の弔辞では「哀悼の意」や「ご冥福をお祈りします」といった表現が一般的です。一方、お別れの会では故人との思い出や、その人の生き方への敬意・感謝を語ることが中心になります。悲しみを表現するより、故人の人生を称えるトーンを意識してください。
宗教的な制約は少なくなりますが、「重ね重ね」「また」「続いて」などの重ね言葉や、「死ぬ」「亡くなる」の直接表現は避けるのが一般的なマナーです。「旅立ち」「逝去」「天国へ」などの言葉を使うと、より自然な挨拶になります。
お別れの会での挨拶は、大きく三つの立場に分けられます。
それぞれの役割に合った文例を、以下でご紹介します。

主催者挨拶は「会のオープニング」と「クロージング」の二つに分かれます。開会の挨拶では会の趣旨を丁寧に伝え、閉会の挨拶では参会者への感謝を述べるのが基本的な流れです。
主催者挨拶は
①会の趣旨説明
②故人への感謝
③参会者へのお礼
の三部構成にまとめると、簡潔かつ伝わりやすい挨拶になります。2〜3分程度を目安にしてください。
会社や団体が主催する際に適した、やや格式のある文例です。
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【開会の挨拶:フォーマル版】 ───────────────────────────────── ただいまより、○○の「お別れの会」を執り行います。
本日はご多用の中お越しいただき、誠にありがとうございます。 私は、本日の会を主催いたしました△△(氏名・所属)と申します。
○○は、長年にわたり□□(会社名・団体名など)に多大な貢献をしてくれました。 その功績と人柄を偲び、本日こうして皆さまにお集まりいただきました。
お別れの会は宗教・宗派に関わらず、故人とのよき思い出を語り合う場として 設けております。どうぞ、○○を偲ぶひとときをご一緒にお過ごしください。
それでは、会を始めさせていただきます。 |
友人グループが中心となって主催する場合、少し柔らかいトーンで語りかけると参会者の心が和みます。
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【開会の挨拶:カジュアル版(友人主催)】 ───────────────────────────────── みなさん、本日はお集まりいただきありがとうございます。
○○とは○○年来の友人で、この会の幹事を務めております△△です。
○○は昨年□月□日に旅立ちましたが、彼(彼女)の笑顔と言葉は 今でも私たちの中に生き続けています。 今日は難しく考えずに、みなさんでゆっくりと○○のことを 思い出していただければと思います。
生前、○○がいつも言っていた「楽しい時間を過ごしてほしい」という 言葉を胸に、それでは会を始めたいと思います。 |
閉会の挨拶は、参会者への感謝と今後のご案内をコンパクトにまとめます。
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【閉会の挨拶】 ───────────────────────────────── 以上をもちまして、○○の「お別れの会」を閉会いたします。
ご多用の中ご参会いただきました皆さまに、心より御礼申し上げます。 ○○もきっと、こんなにも多くの方にお見送りいただき、 喜んでいることと思います。
引き続き、別室にて会食(軽食)をご用意しております。 どうぞお時間の許す限り、おくつろぎいただければ幸いです。
本日は誠にありがとうございました。 |

遺族代表の挨拶は、参会者への感謝と故人の人柄・エピソードを中心に構成します。長々と話す必要はなく、2〜3分(600〜900字程度)にまとめると聞き手に伝わりやすいです。
以下に、汎用的に使いやすい文例をご用意しました。【 】の中を実際の情報に置き換えてご使用ください。
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【遺族代表挨拶 文例】 ───────────────────────────────── 本日はご多忙の中、○○の「お別れの会」にご参会いただきまして、 誠にありがとうございます。遺族を代表いたしまして、一言ご挨拶申し上げます。
○○は、【他界日】に【満年齢】歳にて永眠いたしました。 生前は皆様方に格別のご厚情を賜り、家族一同、心より感謝申し上げます。
○○は【故人の人柄・エピソードを1〜2文で】という人でございました。 最期まで【仕事・趣味・家族へのエピソードなど】を大切にし、 多くの方に支えられた幸せな人生を歩んだと感じております。
残された家族にとりましては、まだ信じられない思いもございますが、 ○○が築いてくれた縁を大切に、前を向いていく所存でございます。
今後とも変わらぬお付き合いをよろしくお願い申し上げます。 本日は誠にありがとうございました。 |
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● 参会者への感謝を最初と最後に必ず伝える ● 故人の人柄が伝わる具体的なエピソードを1つ盛り込む ● 「悲しみに暮れています」より「皆さまとの縁を大切に前を向く」メッセージで締める ● 読み上げる場合は事前に練習し、声のトーンを落ち着かせておく |
友人代表スピーチは、故人との具体的な思い出を語ることが最大の役割です。「あの人らしさ」が伝わるエピソードを一つ選ぶことが、聞く人の心に響くスピーチの鍵になります。
長年の友人として、故人との記憶を語る文例です。
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【友人代表スピーチ 文例】 ───────────────────────────────── ○○さん、今日はこんなに多くの仲間が集まってくれましたよ。
私と○○さんが出会ったのは、もう【年数】年前になります。 【出会った場所・状況:例「仕事の取引先として初めてお会いし」など】
○○さんはいつも【故人の特徴・口癖・習慣など具体的に】という人でした。 【具体的なエピソード:例「どんなに忙しくても、連絡をくれた仲間には必ず返事をしてくれる」など】
突然の知らせを受けたときは、どうしても信じられなくて。 でも、○○さんが私たちに残してくれた言葉や姿は、 これからもずっと背中を押し続けてくれると思っています。
○○さん、本当にありがとう。 あなたと出会えたことを、一生の誇りに思います。 向こうでもあの笑顔で、私たちを見守っていてください。 |
職場の関係者が語るスピーチは、故人の仕事上の人柄や功績に触れながら、個人的なエピソードを添えるバランスが大切です。
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【仕事仲間のスピーチ 文例】 ───────────────────────────────── ○○さんとは、【会社名・部署名】で【年数】年間ご一緒させていただきました。 私にとって、○○さんは【先輩・上司・同僚・後輩】であると同時に、 仕事の師匠のような存在でした。
○○さんはいつも「【故人の口癖・信念など】」とおっしゃっていました。 【その言葉にまつわるエピソードを1〜2文で】
その言葉と姿勢は、今も私の仕事の支えになっています。
○○さんが築いてくださったものを大切に受け継ぎながら、 私たちも精一杯歩んでいきます。 本当にありがとうございました。 |
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◆ ステップ①「出会い・関係」:いつ・どこで知り合ったかを短く ◆ ステップ②「思い出・エピソード」:故人らしさが伝わる具体的なエピソードを1〜2つ ◆ ステップ③「感謝とお別れ」:故人への感謝の言葉で締める
目安は2〜3分(600〜900字)。長すぎず短すぎず、気持ちをシンプルに伝えることが大切です。 |

はい、お別れの会・偲ぶ会でも、葬儀と同様に「忌み言葉」への配慮は必要です。ただし、使ってはいけない言葉の範囲は形式や地域によって異なります。
【直接回答】特に気をつけたいのは「重ね言葉」「直接的な死の表現」「不吉とされる言葉」の三種類です。下の表をご確認ください。
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種類 |
避けたい言葉 |
言い換え例 |
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重ね言葉 |
重ね重ね・再び・また・続いて・いよいよ |
誠に・さらに・そして・次に |
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死の直接表現 |
死ぬ・亡くなる・死んだ |
旅立つ・逝去される・天国へ・永眠される |
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宗教的表現 |
ご冥福・成仏・浄土・草葉の陰 |
安らかに・穏やかに・見守ってください |
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数字の忌み |
4(死)・9(苦)を含む言葉 |
別の数字や表現に置き換える |
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【注意】お別れの会は宗教形式を問わないため、「ご冥福をお祈りします」という 仏教的な表現はなるべく避けることをおすすめします。宗旨・宗派が分からない場合は 「安らかにお眠りください」「穏やかに見守っていてください」が無難です。 |
お別れの会では、専任の司会者を立てる場合と、主催者側の担当者が兼任する場合があります。いずれの場合も、進行の流れに合わせた台本を用意しておくと当日が格段にスムーズになります。
以下は、一般的なセレモニー形式のお別れの会(約1〜2時間)を想定した台本例です。
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【着席誘導のアナウンス】 ───────────────────────────────── まもなく「○○様のお別れの会」を始めさせていただきます。 お時間になりましたら、お席にお着きいただけますようお願いいたします。 本日は心よりお礼申し上げます。 |
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【開会のアナウンス】 ───────────────────────────────── ただいまより、○○様の「お別れの会」を執り行います。 なお、本日の式はおよそ○時間を予定しております。 どうぞ最後までご一緒くださいますようお願いいたします。
(主催者挨拶の前置き) はじめに、本日の会を主催いたしました△△様より、ご挨拶を申し上げます。 |
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【スライドショー紹介のアナウンス】 ───────────────────────────────── これより、○○様の歩まれた生涯を振り返る映像をご覧いただきます。 生前に撮影された数々の写真とともに、ご冥福をお祈りください。 (上映中は、会場を暗くさせていただきます)
(上映終了後) 映像は以上でございます。○○様の思い出が少しでも皆さまのお心に 届いたなら幸いでございます。 |
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【献花・焼香のご案内アナウンス】 ───────────────────────────────── これより献花のお時間とさせていただきます。 お名前をお呼びしますので、順番にご案内させていただきます。
(献花の場合) 花はこちらのスタッフよりお渡しいたします。 花を手前にして、献花台にそっとお捧げください。 |
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【スピーチ紹介のアナウンス】 ───────────────────────────────── 続きまして、○○様とご縁の深い皆さまよりお言葉を頂戴いたします。 (スピーカー名・肩書き)○○様より、一言お言葉をいただきます。
(スピーチ後) ○○様、ありがとうございました。 |
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【閉会のアナウンス】 ───────────────────────────────── 以上をもちまして、○○様の「お別れの会」を終了いたします。 本日はご参会いただきまして、誠にありがとうございました。
引き続き、別室(〇〇ルーム)にて会食のお時間を設けております。 皆さまでゆっくりと○○様のことを語り合っていただければ幸いです。 階段を上がって左手にございますので、どうぞご移動ください。 |

お別れの会の挨拶に「完璧な正解」はありません。大切なのは、故人への思いと参会者への感謝を、自分の言葉で誠実に伝えることです。
以下に、本記事のポイントをまとめます。
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● 主催者挨拶:会の趣旨・感謝・進行案内の三部構成で1〜3分にまとめる ● 遺族代表挨拶:感謝+故人のエピソード+前を向くメッセージで締める ● 友人・仕事仲間スピーチ:出会い→思い出→感謝の3ステップで構成する ● 忌み言葉に注意:重ね言葉・死の直接表現・宗教的表現は言い換える ● 司会台本:流れに沿ったアナウンス文を事前に準備しておく |
本記事の文例はあくまで「出発点」です。故人との関係や会の雰囲気に合わせて、ぜひ自分だけの言葉を加えてみてください。
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小池 中(Ataru Koike)|エンディングプランナー
家族葬後の「お別れの会」「偲ぶ会」専門のエンディングプランナー。これまで多数の開催相談・実務サポートに携わり、四十九日前後の早期開催から一周忌・三回忌の偲ぶ会まで幅広い時期・規模の事例を経験。
「葬儀の延長ではなく、人生の締めくくりの場を設計する」を理念に、開催時期・形式・費用相場など実務に基づく具体的な判断基準を発信している。
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