お別れの会・偲ぶ会の主催者になると、避けて通れないのが開会時の挨拶です。
「何を話せばいいのかわからない」「原稿はどう作ればいいのか」──ほとんどの主催者にとって初めての経験であり、不安を感じるのは当然です。
このページでは、年間多数のお別れの会をプロデュースしてきた専門プランナーが、挨拶原稿の作り方を「起承転結」のフレームワークで解説し、そのまま使える4パターンの例文をご紹介します。
目次
挨拶の前に押さえる3つの基本
① 長さは4分以内が目安
主催者の挨拶のあとには、追悼の言葉(1〜2名)や献杯の発声が続きます。参会者は着席していないことも多く、昼食時間帯であることを考慮すると、長くても4分程度にまとめましょう。ゆっくり話すと1分間に約250字ですので、原稿は800〜1,000字が適切です。
② 葬儀の定型句は使わない
お別れの会は葬儀ではありません。決まりきった言い回しは極力避け、ご自身の言葉で温かみのある内容を心がけてください。紙を用意しても構いませんが、できるだけ顔を上げて話すことをおすすめします。
③ 表情・声のトーン・スピードを意識する
原稿の内容と同じくらい大切なのが「伝え方」です。穏やかな表情で、聞き取りやすい速さで話しましょう。思い出やエピソードは、ユーモアを交えて場を和ませることができると、故人も喜んでくれるのではないでしょうか。
挨拶原稿を「起承転結」で組み立てる
挨拶原稿は、「起・承・転・結」の4ブロックで構成すると、話の流れが自然になり、聞く側も理解しやすくなります。
| ブロック | 話す内容 |
|---|---|
| 起(導入) | 参会者への出席のお礼。特に遠方からの来訪者への感謝。遺族への哀悼の気持ち。 |
| 承(本題) | 故人が亡くなった経緯の報告(個人情報に配慮)。故人の「人となり」──思い出、エピソード、口癖、功績、足跡を具体的に。 |
| 転(展開) | 今後の決意や願い。法人の場合は新体制のお披露目。家族の場合は故人の遺志の共有。参会者へのお願い。 |
| 結(締め) | 会のもてなしに非礼があった場合のお詫び。「お時間の許す限り、ごゆっくりお過ごしください」で締めくくる。 |
この4ブロックを埋めていけば、自然と挨拶原稿の骨子が出来上がります。すべてのブロックを入れる必要はなく、状況に応じて取捨選択してください。

開催目的で挨拶の内容は変わる
挨拶を考える前に、まず「この会の目的は何か」を明確にしましょう。目的によって、「承」と「転」の内容が大きく変わります。
家族(遺族)が主催する場合
- 故人の足跡・人柄を関係者と共に偲びたい
- 家族葬で見送ったあと、落ち着いてから改めてお別れの場を設けたい
法人・団体が主催する場合
- 故人の功績を社内外の関係者と共に称えたい
- 取引先との関係強化の機会を兼ねたい(弔問外交)
- 社員・従業員の再結束の機会にしたい
- 新社長・新経営陣のお披露目を兼ねたい
友人(発起人)が主催する場合
- 故人と親しかった仲間として、お別れの場を用意したい
- 遺族に代わって、友人・知人に故人の人柄を伝えたい
【例文①】家族(配偶者)が主催する場合
| ブロック | 例文 |
|---|---|
| 起 | 皆さま、本日は、〇〇〇(故人名)と私たち家族のために、わざわざお越しくださいまして、本当にありがとうございます。 |
| 承 | 〇〇〇は、●年●月●日、突然、旅立ちました。満●●歳という年齢を考えると、家族としては「早すぎるなあ」と思います。
ところで、きょうのこの会は故人が望んだ形です。「葬儀は家族葬で」、「ご縁のあった方には偲ぶ会で」という本人の遺志を尊重しました。 |
| 転 | また、この会をご案内させていただいた方々は、あらかじめ故人が指名しておりました。どうかご理解くださいますよう、お願い申し上げます。 |
| 結 | 最後になりますが、この後は、お時間の許す限り、故人をお偲びくださいますよう、お願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 |
【例文②】家族(配偶者)──思い出を織り交ぜるパターン
| ブロック | 例文 |
|---|---|
| 起 | 皆さま、本日は、〇〇〇(故人)の偲ぶ会にご参会くださいまして、誠にありがとうございます。 |
| 承 | 先日、家族葬というスタイルで〇〇〇の旅立ちを見送りました。家族と親族だけでしたので、ゆっくり別れを行ないました。
その後、身内も大分落ち着きましたので、きょう皆様と共に故人を偲ぶ機会を持たせていただきました。 私どもの結婚生活は●●年に及びました。その間、家庭や仕事の面でたくさんの思い出を作ることができました。その中で一番の喜びは、結婚後●●年目の長女〇〇の誕生でした。 |
| 転 | 故人の闘病生活を通して、長女と私は家族の「絆」をあらためて確かめ合うことができました。それを糧に、これからの人生を歩んでいこうと思います。 |
| 結 | どうか、これまで同様お付き合いくださいますよう、よろしくお願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。 |
→ 家族が主催する場合の詳しい考え方は:家族の主催者挨拶・お別れの会偲ぶ会
【例文③】法人(新社長)が主催する社葬・お別れの会
| ブロック | 例文 |
|---|---|
| 起 | 本日はご多用のところ、弊社前代表取締役社長・故〇〇〇〇のお別れの会にご参会いただき、誠にありがとうございます。遠方よりお越しくださいました皆様には、重ねて御礼申し上げます。 |
| 承 | 故〇〇は、●●年に弊社を創業し、以来●●年にわたって社業の発展に尽力してまいりました。「〇〇〇〇」という言葉を常に口にし、社員一人ひとりに語りかけていた姿が、今も目に浮かびます。
取引先の皆様とも、信頼と誠意で築いた関係は、故〇〇が遺した最大の財産であると考えております。 |
| 転 | このたび、私が後任として代表取締役社長を拝命いたしました。微力ではございますが、故〇〇の遺志を継ぎ、皆様のご期待に応えられるよう全力を尽くしてまいります。
倍旧のお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。 |
| 結 | 本日は行き届かない点もあるかと存じますが、何卒ご容赦ください。この後は、お時間の許す限り、故〇〇を偲んでいただければ幸いです。ありがとうございました。 |
【例文④】友人(発起人)が主催する偲ぶ会
| ブロック | 例文 |
|---|---|
| 起 | 本日は、故〇〇〇〇さんのお別れの会にお越しくださいまして、誠にありがとうございます。発起人の〇〇〇〇と申します。こんなにも多くの皆様にお集まりいただき、あらためて〇〇さんの人柄が偲ばれます。 |
| 承 | 私は〇〇さんとは●●(きっかけ:大学のサークル、趣味の集まり等)で出会い、以来●●年にわたるお付き合いをさせていただきました。
〇〇さんはいつも●●で(具体的なエピソード)、周囲の人を笑顔にする方でした。 |
| 転 | ご遺族の〇〇様にもお越しいただいております。〇〇さんとの思い出を語り合いながら、心ゆくまで〇〇さんを偲ぶことにしたいと思います。 |
| 結 | この後はどうぞ、お時間の許す限りごゆっくりお過ごしください。ありがとうございました。 |
→ 主催者挨拶の考え方全般は:主催者の挨拶・お別れの会偲ぶ会

挨拶で避けるべき言葉
お別れの会は葬儀ほど厳格ではありませんが、以下の言葉は避けるのが無難です。
| 種類 | 具体例 | 理由 |
|---|---|---|
| 忌み言葉 | 死ぬ、苦しむ、浮かばれない、消える | 直接的な死の表現は避ける |
| 重ね言葉 | ますます、重ね重ね、くれぐれも、たびたび、次々 | 不幸が重なることを連想させる |
| 数字の「四」「九」 | 四回、九回 | 「死」「苦」を連想させる |
ただし、お別れの会は新しい送別文化であり、葬儀ほど神経質になる必要はありません。何より大切なのは、故人と向き合い、ご自身の言葉で語ることです。多少の言い間違いがあっても、誠意を込めて話せば、参会者に伝わります。
挨拶原稿を作成するときに大切なこと
故人と向き合い、原稿を作成する時間こそが、お別れの会を行ううえで最も大切なことだと私たちは考えています。
エピソードを思い出し、言葉を選び、原稿に落とし込む──その過程そのものが、主催者にとっての「お別れ」の時間になるのです。
挨拶文やご案内文の作成についてのご相談も承りますので、お気軽にお問い合わせください。
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よくある質問
Q. 主催者の挨拶は何分くらいが適切ですか?
4分以内が目安です。ゆっくり話すと1分間に約250字ですので、原稿は800〜1,000字が適切です。
Q. 挨拶原稿はどう組み立てればよいですか?
起承転結の4ブロックで構成します。起:参会者への出席のお礼、承:故人の人となり・思い出エピソード、転:今後の決意や参会者へのお願い、結:もてなしの非礼のお詫びと締めの言葉。
Q. 挨拶で避けるべき言葉はありますか?
忌み言葉(死ぬ・苦しむ・消える)、重ね言葉(ますます・重ね重ね・たびたび)、数字の四・九は避けるのが無難です。ただしお別れの会は葬儀ほど神経質になる必要はありません。
Q. 原稿を見ながら話してもよいですか?
問題ありません。紙を用意しても構いませんが、できるだけ顔を上げて話すことをおすすめします。穏やかな表情で、聞き取りやすい速さで話しましょう。
著者プロフィール

小池 中(Ataru Koike)|エンディングプランナー
家族葬後の「お別れの会」「偲ぶ会」専門のエンディングプランナー。これまで多数の開催相談・実務サポートに携わり、スライドショー制作・メモリアルコーナー設置・演出設計まで幅広い事例を経験。
「葬儀の延長ではなく、締めくくりの場を設計する」を理念に、演出・進行・費用相場など実務に基づく具体的な判断基準を発信している。
▶ 会社概要・詳細プロフィール
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