エンディングプランナー・小池 中(あたる)です。
訃報を受けたとき、まず頭に浮かぶのは「何かしなければ」という気持ちではないでしょうか。それでも、「香典を渡すべきか」「供花は送っていいのか」「弔電のタイミングはいつなのか」と、次々と疑問が湧いてきて、気づけば調べることに追われてしまう——そんな経験をお持ちの方は多いと思います。
さらに近年は、「香典辞退」「供花辞退」の案内が届くケースが急増しています。辞退されたとき、「何もしないのが正解なのか、それとも失礼なのか」と判断できずに困ってしまう方もいらっしゃいます。
この記事では、エンディングプランナーとして数多くのお別れの会・偲ぶ会の相談に携わってきた経験をもとに、香典・供花・弔電それぞれのマナーと、辞退を受けたときの正しい対応をわかりやすく解説します。
目次
香典・供花・弔電は、故人への哀悼と遺族への弔意を示す3つの手段です。それぞれ役割が異なるため、使い分けの基準を知っておくことが大切です。
香典は、もともと「線香・抹香の代わりに供える金銭」を意味します。現代では、葬儀・通夜の際に現金を不祝儀袋に包んで遺族に渡すのが一般的な形式です。
供花(きょうか)は、会場に飾るお花のことです。個人や法人の名義で手配し、斎場や偲ぶ会会場に届けるのが基本です。
弔電は、通夜・告別式に参列できない場合に、遺族へ弔意を伝えるための電報です。葬儀当日に会場で読み上げられることがあり、形として残る弔意表現として位置づけられています。
この3つは「代替手段」ではなく、それぞれ異なる場面・関係性に応じた独立した表現手段です。「参列できないから弔電を送る」という単純な理由ではなく、状況と関係性によって組み合わせを判断することが大切です。

香典の金額は、故人・喪主との関係性と自分の年齢・立場によって決まります。相場の目安は以下のとおりです。
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関係性 |
20〜30代 |
40〜50代 |
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友人・知人 |
5,000円 |
5,000〜10,000円 |
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会社の同僚 |
3,000〜5,000円 |
5,000円 |
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上司・取引先 |
5,000〜10,000円 |
10,000円 |
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親族(兄弟姉妹) |
30,000〜50,000円 |
50,000円以上 |
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親族(おじ・おば) |
10,000〜30,000円 |
30,000円 |
金額を選ぶうえで意識していただきたいのは、「偶数・忌み数」を避けることです。4(死)・9(苦)は忌み数として嫌われます。また、2万円は「2=ペア=分かれる」として避けられることがありますが、近年は許容される場面も増えています。厳密さを求める場合は、3万円や5万円に設定するのが無難です。
不祝儀袋の表書きは、宗教・宗派によって異なります。最も重要なのは「宗教を確認してから書く」ことです。現実、なかなか難しいことでもあり、ここでは一般的な内容をご案内します。
仏式の場合
神式の場合
キリスト教の場合
宗教が不明の場合は「御霊前」か「御花料」が比較的無難ですが、確認できる場合はかならず確認しましょう。「御霊前」は浄土真宗では使用できない点に注意が必要です。浄土真宗では故人は即座に成仏するとされるため、「霊」という概念が存在しません。善意で書いた表書きが思わぬ非礼になるケースもありますので、宗派の確認を大切にしてください。
名前は表書きの下段にフルネームで書きます。連名の場合は右から目上の順に並べ、4名以上になる場合は「○○一同」としてまとめましょう。
香典は通夜か告別式のいずれかで渡します。両日とも参列する場合は、通夜で渡すのが一般的です。
受付では、袱紗(ふくさ)から取り出して両手で手渡してください。袱紗の色は、黒・紺・緑・紫など寒色系が弔事に適しています。「このたびはご愁傷さまでございます」と一言添えるのが礼儀です。
プランナーとして多くの現場に立ち会ってきましたが、香典袋をバッグからそのまま取り出して渡す場面を目にすることがあります。形式的なルールというより、気持ちの込め方として遺族にも伝わります。袱紗を使うひと手間が、丁寧さを示します。

供花は、白を基調とした生花を用いるのが基本です。菊・カーネーション・百合・胡蝶蘭がよく使われます。色は白・淡いピンク・薄紫などが適しています。派手な色や強い香りの花は避けましょう。
形式には「スタンド花」と「アレンジメント」があります。スタンド花は斎場の祭壇両脇に飾られる大型の花で、会社・団体名義で送る場合に選ばれることが多いです。相場は15,000〜30,000円程度です。個人名義ではアレンジメントが多く、5,000〜10,000円が目安になります。
供花は斎場や偲ぶ会会場に直接届けるのが原則です。喪家(そうけ・もけ・自宅)への配送は、遺族の負担になる場合があるため避けるのが望ましいです。
手配は葬儀社経由が確実です。斎場によっては持ち込みを禁止しているケースもあります。独自に手配したフラワーショップからの配送を断られた事例もありますので、事前に葬儀社か斎場に確認しておくことをおすすめします。
タイミングは、通夜の前日または当日午前中を目安にしてください。遅くとも告別式の開始2時間前には届いていることが望ましいです。
弔電は、参列できないが弔意は伝えたいという場面で活用します。ただし、関係性が薄い場合には送らないほうが自然な場合もあります。
弔電を送るべき状況の目安は、「参列すべき関係性にある人が、参列できない事情がある場合」です。逆にいえば、日常的な交流がない程度の知人であれば、無理に送る必要はありません。形式的な弔電は、読む遺族にとって負担になることもあります。関係性の深さに応じて判断されることをおすすめします。
弔電の文面には、「忌み言葉(いみことば)」を使わないようにしましょう。重ね言葉・死を連想させる言葉・不幸の継続を示す表現が該当します。
避けるべき言葉の例
文面は簡潔に、故人への哀悼と遺族への弔意を含める構成がよいでしょう。NTTの電報サービス(d-MAIL)などでは定型文から選ぶことができますが、一言でも個人的なメッセージを加えると印象が変わります。(参照:NTT東日本「電報サービス d-MAIL」)
弔電の宛先は「喪主名」にします。「○○斎場気付 喪主 ○○様」という形で斎場の住所に送るのが正式です。自宅に送ると、家族が不在の場合に受け取れないリスクがあります。
タイミングは、告別式の当日午前中までに届くよう手配しましょう。なお、前日までの手配が理想です。葬儀日程は訃報を受けた直後には確定していないことも多いため、日程が確認でき次第、速やかに手配する習慣をつけておくと安心です。

辞退の案内を受けたとき、「何もしないのが礼儀なのだろうか」と戸惑う方は多いです。しかし、「何もしない」が必ずしも正解ではありません。辞退の背景を推測したうえで、適切な対応を選ぶことが、本当の意味での礼儀にかないます。
「香典辞退・供花辞退」が増えている背景には、家族葬の普及があります。家族葬では、多くの香典や供花が届くことで生じる「お返しの負担」を避けたいという遺族の思いが反映されています。
ここで大切なのは、辞退の意味は「弔意は必要ない」ではなく、「物品・金銭は受け取らない」という宣言だということです。この区別はとても重要です。辞退を受けたからといって、関係性に応じた弔意表現を完全に省略することは、必ずしも礼儀正しい対応とはいえません。
香典を辞退された場合 香典そのものは渡さないようにしましょう。無理に渡しても遺族が受け取れず返却されることが多く、かえってご負担をかけることになります。
供花を辞退された場合 斎場への配送は控えてください。ただし、後日お自宅へ届けるごく小さなアレンジメントは許容される場合もあります。この場合も事前にご喪家へ確認するのが望ましいです。
弔電は辞退の対象外であることが多い 多くの場合、辞退の案内は香典・供花に限定されており、弔電は含まれていません。辞退の案内を受けた場合でも、弔電は積極的に活用していただけます。
香典・供花を辞退されたうえで参列もできない場合、弔電に加えて「手書きの手紙」を後日お送りすることが、最も誠実な弔意の表現になります。
手紙には、故人との思い出や遺族へのねぎらいの言葉を盛り込んでください。印刷した定型文ではなく、手書きであることが大切です。葬儀から1〜2週間後、遺族が少し落ち着いた時期に届くよう送ると、心の支えになりえます。
香典という物品では伝えられない「あなたとの記憶」を届けられるのが、手紙の固有の価値だと感じています。エンディングプランナーとして、辞退の状況で手紙を選んだ方の行動に、遺族が深く感謝された場面を何度も目にしてきました。

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場面 |
仏式 |
神式 |
キリスト教式 |
宗教不明 |
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四十九日前 |
御霊前・御香典 |
御玉串料 |
御花料 |
御霊前 |
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四十九日後 |
御仏前 |
御玉串料 |
御花料 |
御仏前 |
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供花 |
御供花料 |
御玉串 |
御花料 |
御供花料 |
浄土真宗の場合は「御仏前」が四十九日前後を問わず正式です。「御霊前」は使用できないため、宗派が浄土真宗とわかっている場合はかならず注意してください。
なお、表書きに使う筆記具は、薄墨(うすずみ)が基本です。「涙で墨が薄まった」「悲しみで筆が走らなかった」ことを示す慣習に由来します。ただし、四十九日以降の法要では濃い墨で問題ありません。
香典・供花・弔電のマナーは、状況や宗派によって細かく異なります。それでも共通しているのは、「形式を整えること」よりも「相手への思いを大切に届けること」が根本にあるという点です。
特に辞退を受けたとき、「何もできない」と諦めずに、手紙や弔電という形で弔意を伝える選択肢があることをぜひ覚えておいてください。
葬儀後の対応やマナーについてご不安なことがあれば、ネクストページのエンディングプランナーにご相談ください。「こんなことを聞いてもいいのかな」という些細なご質問にも丁寧にお答えしています。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
Q1. 家族葬に招かれていないのですが、香典を送っても問題ありませんか?
原則として、招かれていない場合は香典をお送りしないほうが無難です。送ることで遺族に「辞退のご説明をしなければならない」というご負担が生じます。気持ちを伝えたい場合は、落ち着いた時期に弔問するか、手書きの手紙をお送りする方法がおすすめです。
Q2.「御霊前」と「御仏前」はどちらを選べばよいですか?
四十九日前であれば「御霊前」が基本ですが、浄土真宗には使用できません。宗派がわかる場合はそれに合わせ、わからない場合は「御香典」が無難な選択肢になります。
Q3. 弔電の宛名は故人名と喪主名のどちらがよいですか?
宛名は喪主名にするのが正式です。「○○斎場気付 喪主 ○○様」という形で斎場にお送りください。故人名で送ると、受け取る担当者が対応に迷う場合があります。
Q4. 供花の持ち込みを断られた場合はどうすればよいですか?
葬儀社にご相談のうえ、斎場が指定する業者経由での手配方法を確認されることをおすすめします。香典辞退の案内が出ている場合は、供花料の包み方についても葬儀社に確認すると安心です。
Q5. 弔電と香典は同時に送っても問題ありませんか?
問題ありません。弔電は「参列できない場合の代替手段」ではなく、弔意表現の一形式です。参列して香典をお渡ししながら、弔電もお送りするケースもあります。一般的には参列できない場合に弔電を送り、参列する場合は香典で弔意を示す形が多いですが、両方を組み合わせることも自然な選択肢です。
小池 中(Ataru Koike)|エンディングプランナー
家族葬後の「お別れの会」「偲ぶ会」専門のエンディングプランナー。 これまで多数の開催相談・実務サポートに携わり、ホテル開催・レストラン開催・社葬形式まで幅広い事例を経験。
「葬儀の延長ではなく、人生の締めくくりの場を設計する」を理念に、費用相場・服装マナー・進行設計など、実務に基づく具体的な判断基準を発信している。
▶ 会社概要・詳細プロフィール https://www.nextpage.co.jp/corporate/
弊社の実績豊富なフェアウェルプランナーが親切丁寧にお応えいたします。
費用の概算、おすすめの会場、開催の時期、プログラム、お別れの会・偲ぶ会・社葬の違い…など